【読書日記】砂嵐に星屑/一穂ミチ

今回の本

『スモールワールズ』と『パラソルでパラシュート』に続いて一般文芸3作目の本作は、発売前から予約して楽しみにしていました!

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あらすじ

テレビ局で働く年代・性別・悩みもそれぞれの4人の連作短編集です。

〈春〉 資料室の幽霊

三木邑子は東京で生まれ育ち、就職で大阪に10年、東京へ移動して10年そして大阪に戻ってきた。

43歳になりアナウンサー歴も長いが、今では昼休み前の10分間のローカルニュースを読み上げるのが仕事だ。

アナウンサー部の新人や大阪の仕事仲間とは邑子から一線を引いていた。

なぜなら邑子が東京に移動になった理由が社内不倫であり多くの人が知っていたからだ。

独身のままで時は過ぎてしまい、『属性』を得られなかった邑子はフリーになって若手とオーディションで張り合う勇気もなく、つぶしがきかない人間になってしまったと思っている。

社内では腫物扱い、自分自身もどこへ向かえばよいかわからない状態だった。

ところが同僚から資料室にかつて交際していた相手が幽霊として出るという噂を聞いた。

ありえないとは思いながらも自分だけが転勤となったことに怒りを抱きながら、資料室へ足を運ぶとアナウンサー新人の笠原雪乃が現れた。

なぜか笠原に付き合って幽霊調査をすることになってしまったが邑子は見てしまった・・・

かつての交際相手の幽霊を・・・

幽霊はなぜ出てくるのか?その原因を笠原と探ることになってしまった。

感想

『砂嵐のような毎日の中で自分の星を見つけられるか』

タイトルはこういった思いでつけられたのでしょうか?

平凡な人生って、きっとすごく難しいのかもしれません。

普通の恋愛をしようと思っていたのに気付いたら不倫をしていて、ツケを自分だけが払わされていた。

同期が次々と第二の人生を歩むために早期退職していき、取り残されたような気持ちもあるけれど自分の取柄が特に見当たらないので辞める勇気もない。

好きになった人となんとか一緒に住むことが出来たけれど、相手はゲイで自分と付き合ってはくれない。好きなのに傷つけることばかり言ってしまう。

下請けで働き、向上心が持てずADとしての仕事が性格的に向いてなく苦痛でしかない。

『常に』ではないけれど、登場人物の抱える悩みに誰しもが心当たりがあるのではないでしょうか。

本作の中で一番好きだったのは、『夏 泥舟のモラトリアム』でした。

私は周りが次々と転職してスキルアップしていく様をみて、登場人物と同じように焦りと自信の無さを感じたことがあります。

普通は誰かの一言がきっかけで立ち直ることが多いのですが、本作の見どころは自分自身で自問自答して新しい第一歩を踏み出すところです。

”どれだけの人がやりたいこともわからずに死んでいくのだろう”

ハッとさせられる言葉です。

『やりたいこと』。毎日の生活、目の前のタスクで一杯いっぱいで先のことなんて分からない。

よく分かります。私もたぶんやりたいこと分からないで死んでいくパターンかもしれません。

けれども死ぬ前に人生を振り返って「概ね良い人生だった」と思えるように毎日を一生懸命生きていきたい。

本章を読み終えた後にそんなことを考えてしまいました。

本作は春夏秋冬のタイトルがついており、あるテレビ局で働く人たちを主人公にしています。

読んでいると、「あ、この人はこういう悩み持っているから言葉が染みるな」と章を追うごとに登場人物の人となりを知っていくのでセリフや関わり方により深みを感じるようになります。

前作の長編も良かったですが連作短編も良いですね!

スモールワールズの『ピクニック』のようなちょっとホラーテイストが入った作品も読んでみたいものです!

今回の本の本体表紙と裏表紙

水たまりに映る高層ビル、テレビ局が夜なのに煌々と電気がついて中では忙しなく仕事しているんだろうなぁと思わせられます。

裏はシンプルですね!

ジャケットを外すと水色に金色の星!濃い青ではないので、夜明け間近の空でしょうか?

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