今回の本
今年最後の更新になりそうです。
瀬尾さんの本は、どの本も心が温まるので年末年始の読書におすすめです。
あらすじ
36歳 母の習い事教室の先生に紹介された男性 山田さんと結婚するため、12年間勤めた会社を辞める予定の望月さくら。
結婚後は結婚相手の実家が営んでいる商店街にある和菓子屋を手伝う予定だ。
何か始めなければと思い入会した料理教室に自分の兄と名乗る男性がやってきた。
兄という割にかなり若く見え、話を聞くと24歳だという。
本人は名前を名乗らないし、さくらには全く覚えがなく自分の母に聞いてみてもわからなかった。
この自称『兄』は自分のことをよく知っている上に、さくらの名前の由来まで知っていた。
結婚が6月と知っており、その前に色々準備をしたいという。
しばらくすると男性は、今度はさくらのアパートの前で待っていた。
仕事を辞めてから山田さんの和菓子屋を週に2回手伝っているのだが、それについてくるという。
客として店に偵察にきた自称兄は、持ち前の気さくな態度でお義母さんの懐に入り込み、和菓子の制作に関心があると言って、山田さんとお義父さんが和菓子を作っている作業場までチラッと覗いていった。
あまりに自然に兄として妹の世話を焼いてくる男性にさくらは気を許すようになり、料理を習うようになった。
自称兄は和菓子屋にもよく顔を出し、大量に和菓子を買っていき、妹としているさくらの売り込みをしていった。
自称兄の正体を知りたいと思いつつも、さくらは硬く蓋をしたある記憶を開ける勇気が持てない。
自称兄は一体何者なのか?
感想
最初の方は、物語が一体どういう展開になるのか分からず、自称兄についてこちらも警戒して読んでいました。
まぁ、いきなり自分より年下の男性が「お兄ちゃんだよ」なんて言ってきたら身構えますよね。
というか普通に詐欺案件だと思いますし。
読んでいくにつれて、詐欺師というには不器用だし、さくらに対して本当に世話焼きの兄としての態度なので詐欺師という線は薄れていきます。
そして再び浮上する兄の正体についての疑問。
さくらの過去に関係するのですが、そういうことだったかとストンと腑に落ちました。
だから一度会ったバス待ちしているおばあちゃんのことを忘れていなかったんだ。
その時々で会った人を大切にしているんだなぁと。
結婚相手の山田さんと出かけた回数も一緒に過ごした時間も少ないけれども、お互いいい歳だし双方の両親が結婚を望んでいるということから流されるように結婚しようとしていた さくらでしたが自称兄の登場によって、気付くことができたものがあって本当に良かった。
読み始めは、読んでいるこちらも色々と不安を覚えていましたが、ラストに向かうにつれてホッと安堵し温かい気持ちで読むことができました。
終わり方も温かくて冬の寒い時期に温もりをくれる本でした。
今回の本の本体表紙と裏表紙
桜の花に桜餅、花冠をつけた女の人にウサギ。作中に出てきたものがたくさん!
リースみたいに輪になっているところが良いですね!いろんなものが繋がって縁になっている感じがします。
ジャケットを外すと本体はこんな感じです。可愛らしいですね!
おすすめ関連書籍
瀬尾まいこさんの作品は今年映画化もされましたね!
今回は他の著作を紹介します。