今回の本
わが家は祇園の拝み屋さんシリーズや京都寺町ホームズシリーズで人気の作家さんの新作が出たので早速読んでみました!!
あらすじ
高屋誠は念願の出版社に入社して二年目。
ゆくゆくは憧れの雑誌 『匠のストーリー』の編集者になることを夢見ていた。
1年目は東京本社の文芸雑誌編集部に配属が決まり、自分には引きの力があるとおもっていた。
ところが・・・わずか1年で大阪支社へ移動になってしまった。
特に何かしでかしたわけではないのに。
慣れない大阪の街、関西弁の上司、そして何より耐え難いのが担当がティーン向けの占い雑誌『ルナノート』になったことだ。
高屋は占いをある理由から嫌悪している。
とはいえ、当面は『ルナノート』のWEBサイトのチェックと連載小説の担当となった。
その連載小説が『小説』といってよいのか疑問になるような、ぶっとんだ文章だった。
『マジでビックリした』など現役の学生が書いているようなものなのだ。
しかし、小説投稿コーナーで人気の作家のため、表現にはあまり手を加えずに誤字脱字と差別用語のチェックをするぐらいだった。
慣れない生活にストレスを感じながらも『ルナノート』の占い記事の取材に行く先輩社員に同行することになった。
今回の取材本命の船岡山珈琲店にいる占い師の元へ向かう前に二人の占い師に会った。
いずれも占ってもらうのは先輩社員の三波だ。
しかし二人目の『霊感占い』で高屋は占い師に嫌悪感が募り、爆発して先輩社員の手を取り「くだらない」と捨て台詞を残して帰ってしまったのだ。
そして、本命の船岡山珈琲店の占い師にもやってしまった。
三波が顔を見せない謎の占い師の話に聞き入る一方で、高屋の心は一気に冷めていく。
ありきたりなことを言い、誰にも当てはまるようなことを言っているようにしか聞こえないのだ。
ついに高屋は非常識なことをしていると分かっていたものの、言葉を止められなくなった。
占い師に対して胡散臭い、金をむしり取る、悪徳業者と言ってしまったのだ。
占い師が怒りを露わにし姿を現したら・・・そこには美少女がいた。美少女はこの珈琲店のマスターの孫娘だった。
その後のなりゆきで高屋は、船岡山珈琲店の二階の部屋に住むことになった。
占い嫌いの高屋は、無事に『ルナノート』の担当を続けられるのか。
そもそも高屋がこんなに占い嫌いになった理由は一体・・・?
感想
社会人なのに感情のまま占い師に暴言を吐く高屋に最初は嫌悪していましたが、抑えきれないほどの思いがあったのだなと過去を知ることによって、嫌悪は少し緩和しました。
でもまあ、社会人ならやっちゃだめでしょーーー。
そこも含めての2年目なのかな。
珈琲店に住むことになって少しずつ占いの世界に触れていき、凝り固まった心が徐々にほぐれていく様子は読んでいてホッとしてます。
神宮寺家の人たちが本当に魅力的で、素敵な一面だけでなくちょっと意外な部分もあるところがさらに惹きつけられます。
ラストの高屋のお母さんとの件は、私的にはとても良い展開と決断だったと思いました。
簡単に許せるものではないですからね。この決断が最適だったと思います。
本作はシリーズ化するのかしら。
京都の船岡山らへんは行ったことがないので、観光ブック見ながら本作の舞台を辿るのも楽しそうですね!
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