今回の本
ダヴィンチの新刊情報で掲載されていて気になって購入しました!
歌舞伎も気になるし、女形の奥さんってどんな感じなんだろうという興味もあります!
※以下のリンクは電子書籍なので購入の際はご注意ください
あらすじ
武家の娘 志乃は歌舞伎役者の妻となった。
ただし、相手は江戸で評判の若女形。
武家の娘として躾けられた志乃は、父親が決めた相手に口答え一つせずに嫁いだものの歌舞伎見たことがないため、夫がどのようなことをしているのか全く知らないままだった。
祝言はあげずに顔も見ないまま夫の家に移り住んで2か月が過ぎた。
志乃はいまだに落ち着ける場所がわからなかった。自分は果たして夫の隣か後か前いずれにいればよいのだろうか。
夫は常に女子の姿でいるのだから。
今日は志乃が夫 燕弥に頼まれて買ってきた紅についてクドクドと叱られた。
志乃には違いが分からなかったが、色の伸びや微妙な色の濃さが異なっており買いなおしてこいと遠回しに言われ、家を追い出された。
今回の燕弥は、ずいぶんと大人しい女人だった。
演じる女人によって燕弥も普段の性格も食べ物の好みまでもが変わっていく。
志乃は周りからそれなりの顔と言われて一寸の自信もあって嫁いできたが、目の前には自分よりも美しい女の姿をした夫がいる。
燕弥の希望により寝所も別で、一体何のためにこの家にいるのだろうか?
自問自答する日々が続く。
一方で芝居町に住んでいるので、そこかしこで芝居の話がされ絵姿が売られている。
歌舞伎を知らずのままの志乃は次第に興味を惹かれていく。
燕弥の世話役が贔屓からの祝儀として様々な品物を届けに来るたびに、夫が今演じている芝居の話をしてくれるようになった。
武家で育った志乃には信じられないようなことが繰り広げられる芝居に次第に夢中になっていく。
果たして志乃は自らの居場所を見つけられるのか?
女房とは、女とは一体何なのだろうか?
今日もコンココココココ・・・・コンと芝居の幕が上がっていく。
感想
いやー!!すごかった。どうなるのかと終盤は息つく暇もないくらい!!
最初から最後まで女形に嫁いだ武家の娘 志乃の女房としての在り方について悩みに悩んで、最後は『女房』として心が引き裂かれるような決断をします。
さて、この『女房』としての在り方と書きましたが、『女形の女房』としてか『夫 燕弥の女房』としてか。
どちらも取ることが難しいのが女形の女房。
女形として普段から女の格好をし、役によって性格も好みも変わる徹底した役者魂を持つ夫だからこそ普通の夫婦の形は難しい。
志乃の自分の立ち位置をもがきながら探し求める姿は、心を打たれます。
役者の女房である2人が作中には出てきて、志乃と関りがでてきますがこの2人が全く正反対!!
夫のためならと妾を自ら選ぶ『役者の女房』として生きるお才。
浮気しているかもと思い込んで、女人禁制と言われる芝居小屋に乗り込み大暴れしてしまう一人の男の『女房』として生きるお富。
色々な考え方に触れつつも、志乃自身が芝居に対しての興味が溢れてきて芝居話を聞く際の志乃の様子が目に浮かぶようです。
芝居のあらすじを聞くときに煙草盆を鳴らす音や空の桶を土間に打ち付ける音が芝居の幕開けを表しており、読んでいる私の頭にもコンココココココ・・・・・コンと鳴り響く感じがしました。
また、女形として自身の女房を芸の肥やしにして利用しようとするけれども、だんだんと惹かれていく気持ちを抑えきれない燕弥の気持ちの変動も見どころです!
歌舞伎に親しみがなくてもあらすじを作中で解説してくれるので読みやすく、もっと歌舞伎に触れたいと思いました!
今回の本の本体表紙と裏表紙
燕が目を引きますね!
ジャケットを外すと本体も同じ柄が!
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