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今回の本
前回、曲亭の家を読み終えてからもっと西條さんの本を読みたいと思い調べて知ったこちらの本。
先日の本屋での爆買いの際に一緒に購入しました!
あらすじ
小さな楊枝屋で4人兄弟の末っ子として生まれた鈴之助の結婚が決まった。
相手は、両思いのたおやかで美しい娘 お千瀬だ。
出会いは、女2人のうち婆やが足を挫いてしまい、困っている様子だったので声をかけて医者まで婆やを背負って連れて行ったことからだった。
好きな女性と結婚できることに幸せを噛み締めていた鈴之助だが、お千瀬は3人姉妹の長女で実家は大店の仕出し屋 逢見屋である。
四男のため婿に入ることになり、兄弟からは玉の輿だと揶揄われたりした。
しかし婿に入った翌日に鈴之助は逢見屋の実態を知る。
逢見屋は四代目以降から女性が家を継ぎ女将として店をやってきていた。
朝食の際には、お千瀬の祖母と母は大女将と女将として若女将のお千瀬とともに上座に座り、お千瀬の父と妹たちに鈴之助は下座に座る。
食べるものも上座の女将たちはその日の出す予定の料理の試食という役目もあり豪華だが、下座の面々は至って質素だ。
婿としてやってきた鈴之助の期待された役目とは、後継を作ること。
その他は店の経営などに口を出さず小遣いで遊んでいれば良いと言う。
のらりくらりとする義父と義父や鈴之助に当たりが強い妹2人。
鈴之助は祝言の翌日に隠居を申し渡されたようなもので、悄然とした。
しかし、お千瀬は鈴之助に助けて欲しいと言う。
どうやら派手な仕出し屋に目移りした客がいて徐々に客数が減っており、このままでは逢見屋がもたないかもしれないようだ。
鈴之助には人の気持ちを和らげて懐にするりと入り込む才能があり、今の逢見屋の体制についてお千瀬とともに戦って欲しいとお千瀬は言った。
逢見屋にいるとみえてくる人間模様。
女将たちに蔑ろにされる義父。姉がいるせいで決して店を継げない上の妹 お丹。口数は少ないものの義父に陰で懐いている下の妹 お桃。
そして店で起きた遺産相続で揉める兄弟の仲裁や最近名を聞くようになった仕出し屋 伊奈月による営業妨害…
次から次へと舞い込む難題に鈴之助は太刀打ちできるのか?
逢見屋ではこれまで女の子しか産まれてこないと聞かされてきたが、その真相は…?
感想
いわゆる女系の経営をしている逢見屋に婿入りしてしまった鈴之助。
最初は無気力になっていましたが、お千瀬の期待と自由に動ける身であるからこそ解決できた出来事に天晴れでした!
あとは義家族との関係も鈴之助の才能で、徐々に軟化していくところも行方が気になって、いつしか一気読みでした。
伊奈月が関わってくるところでは、真相を知って本当に涙涙涙!!!
いくらなんでも女しか生まれないというのは無理がありますもんね。
じゃあ、『男の子が生まれたらどうするのか』これは後半で鈴之助とお千瀬が悩むところではありますが、伊奈月との下りで伏線が回収され納得するとともに切なさで泣きました…
ラストで見える鈴之助の働きによる義家族の関係の変化は、鈴之助に「よく頑張ったね」と労いを送りたいです!鈴之助でなければ、この展開は生まれなかったでしょうから。
西條さんの本は今作でもほっこりさせてもらいました。他の著作もどんどん読みたいと思います!
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