【読書日記】手のひらの京/綿矢りさ

今回の本

秋といえば紅葉!でもなかなか旅行に行けないし…

そういえば京都の紅葉って昔に見たきりだなぁ。

京都行きたいなぁ…という連想ゲームにような感じで積読から取り出したのは、こちらの本です。

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あらすじ

京都で生まれ育った両親と一緒に暮らす三姉妹。

長女 綾香は図書館に勤め、おっとりしているが子どもを産みたい気持ちから結婚に焦っている。

次女 羽依は京都に本社がある大手企業で一般職に就いており、容姿に自信があり自他ともにモテる。

三女 凛は理系の大学院で修士課程に進んでおり、就職活動で京都から出たい気持ちがある。

凛はこのままずっと実家の子供部屋に住み続けることに恐怖を感じていた。

東京の大手お菓子メーカーに教授推薦が取れそうだが、京都で生まれ育った両親からは京都を出ることに猛反対されている。

羽依は会社の誰もが憧れる上司と付き合ったが、相手のそっけない態度に嫌気がさしてきて交際を見直すように。

また男性社員からの覚えが良い羽依が気に入らないお局様達から悪口を聞こえるように言われたり…

綾香は、結婚に焦りを感じつつも羽依から紹介された会社の同僚とデートを重ねるようになった。

できれば交際して結婚にまで進みたいけれど…

京都を舞台に揺れる思いをそれぞれ抱える三姉妹のお話。

感想

次に何読もうかな〜と思いながら積読を眺めていると、ふとしばらく行けていない京都をしんみりと感じられそうな本が読みたくなり選びました。

途中で出てくる京都の名所を観光客ではなく住民の視点で描かれているところが、観光客側である私から見ると新鮮で新たな発見がありました。

先斗町から出て鴨川沿いに座る時も、カップルが等間隔で座る名物が見れるのは河原町側の岸なんだなぁとか。

大の字に火が灯される送り火では、一気に火がつくのではなく徐々に点くことだとか。

実際に見たいけれど、イベント時期の京都旅行は高すぎて札幌からは行きづらいので本で楽しめるのは嬉しい…

その他、『歩道に影の少ない町』という一文に確かに!と読みながら納得してしまいました。

京都の情景以外に、本作に出てくる三姉妹も魅力的で性格が全然違うのに3人とも好きで誰も嫌いになれない。

長女の結婚に対する焦りもあるけれど、ゆっくりと交際を進展させていきたいという葛藤もよく分かる。

この葛藤からたまに変な方向に進みそうになるけれどもハッと気付いて軌道修正するいじらしさが可愛いなぁと思いました。

次女は読んでいてもモテるだろうなぁと分かるくらいの気遣い屋さんでその場にいると会話が明るく楽しく続いて重宝されるのが納得。

上司やお局様たちとの対決はスカッとしましたが、本人は後からやり過ぎたと反省するところが無鉄砲だなぁと突き放せない。

三女は感受性豊かでフワフワしているように思うけれど、自分のやりたいことに向かって頑張る姿はなんだか懐かしく思いました。

自分もこんな時期があったなぁと。

色んなことが待ち受けていそうなラストだけれど3人とも幸せになってほしい。

しんみりとした気持ちで本を読み終えました。

秋に読むのにちょうど良い話だったように思います。

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