【読書日記】装幀室のおしごと。/範乃秋晴

今回の本

私はよく本を装幀買いするので、以前から装幀を題材にした本を読みたいと思っていました。

たまたまインスタで目にしたこちらの本!まさに装幀に関する本!ということで読んでみました。

あらすじ

本のジャケット(カバー)や表紙、紙の種類に文字組みを試行錯誤しながら作り上げる部署 装幀室。

装幀室に所属する 本河わらべ は、【本の気持ちになって、本の表情を作る。届くべき人の元へ届ける】ことが装幀家としての役割だと思い仕事してきた。

厳しいようだが売れなかったら、それは作家の責任と思っていた。

ところが会社が合併し、合併した会社からきた装幀家としばらく2人1組みで仕事をすることになったのだが、その男 巻島の考え方が合わなかった。

彼は本の内容には目を通さず内容は編集者から聞き、売れる装幀にすることに重きを置いていた。

たとえ装幀と内容があっていなくても売れるインパクトを大事にしていた。

2人は最初から衝突し合い、与えられた仕事に対してそれぞれ装幀を作り選んでもらうことに。

売れる装幀と売れなくても本の表情を大切にし、分かってもらえる人がいることを信じる装幀…

果たしてどちらの装幀が多く選ばれるのか?

また巻島がゲラを読まない理由とは??

感想

『本の内容を忠実に表すような装幀で、たとえ売れなかったとしてもその装幀と本を気に入ってくれる人がいればいい』という考えの わらべ。

一方で内容を忠実に表すよりも読者が手を出しやすいような装幀で売れるためには、内容は二の次という巻島。

第一章の終わりで、わらべが「結果的に売れないこともあるけれど、それでも本に相応しい顔を作ってあげることはできる」と巻島へ言ったあとの巻島の言葉で今までの考えが逆転しました。

『お前、作家がなにで食べてると思ってるんだ?』

これまでは私自身、綺麗な装幀が好きなので装幀は本の内容に合わせて…とわらべ寄りの考えでしたが、【売れる】ことも最重要事項ですよね。

この言葉を機に私の考えは巻島寄りになりました。

ラストでは最初の章に出てきたベストセラー作家が装幀を嫌う理由や巻島がゲラを読まない理由、わらべの装幀にこだわる理由が明らかになって意外な展開で驚きました!!

ラストは心が温まる展開でしたので、本や装幀が好きな人には是非読んでみてほしい本です!

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