Contents
今回の本
年に数回くる私の中での森見登美彦さんブームが再来し、積読していた中から取り出しました。
今は単行本も出てますね!
あらすじ
平日は真面目に働き、土日はとことんぐうたら怠ける。それが社会人2年目の小和田くんのルーティーンだ。
一方、同じ職場の所長は土曜日の朝は喫茶店の卵サンドウィッチとホットコーヒーで始まる。
そして同僚の恩田さんは彼女と土日の予定をびっしりと入れて、充実した週末となるように計画を立て実行している。
始まりは所長が京都から異動となるための送別会を終えた土曜日。宵山である。
小和田くんは前日に飲み過ぎて記憶があやふやな中、目を覚ますと小さな椅子に縛り付けられていた。
目の前にはペラペラの狸のお面を付け、黒いマントを羽織った男がいた。ぽんぽこ仮面である。
困った人々を次々と助ける正義の味方だ。
ぽんぽこ仮面は、とあるきっかけで小和田くんと接触した後、ずっと自分の跡を継ぐようにと持ちかけてくるのだった。
週末を怠けたい小和田くんは、断り続けている。
今回も断り続けていると、不意に女性がぽんぽこ仮面を捕まえようと抱きついた。
どうやらぽんぽこ仮面の正体を暴けという依頼を受けた探偵のようだ。
逃げるぽんぽこ仮面。
追う探偵 玉川さん。
そして二代目ぽんぽこ仮面候補として玉川さんの尾行に連れて行かれる小和田くん。
果たして、ぽんぽこ仮面は誰なのか。
そして小和田くんのぐうたら週末はどうなる?
今日の恩田さんと彼女のスケジュールは?
長い長い1日が始まった。
感想
長編を読むのは『熱帯』以来でしたが、本作も面白い!
特に好きなのは、マトリョーシカのように何層にもなっている下り。
主人公 小和田くんが蔵の中で眠り夢を見ているが、夢の中の小和田くんがまた夢を見、その夢の中の小和田くんが…
といった具合の開けても開けても続いていくマトリョーシカ。
そして所々、筆者である森見登美彦さんがちょいちょいコメントしていくところが最高!!
中には登場人物と絡もうとしているところもあり、どこまでが物語でどこが現実なのかあやふやに。
そうして現実と空想がごっちゃになってきた頃合いで、物語がクライマックスを迎え自分も物語の一員になったかのような気にさえなってきました。
それにしても主人公 小和田くんは本当に怠け者でした。
なんせ単行本だと本の半分以上はずっと寝ていて、殆どがぽんぽこ仮面と週末探偵の玉川さんが躍動している話なのだから。
しかし、その前半部分もうまい具合に絡め取って最後に重役出勤で回収していく小和田くんは流石主人公。
ぽんぽこ仮面については、とても良い結末だったと思いました。
そして所長が探偵に何を頼んだのか気になります。
あとがきにて、『宵山万華鏡』と『有頂天家族』とも水面下で本作は繋がっているとのこと。
宵山万華鏡は既読でなんとなく検討はつきますが、有頂天家族と合わせてもう一度しっかり読み直したいと思いました!
おすすめ関連書籍
本の中で冒険したい時におすすめな本です。