【読書日記】スモールワールズ/一穂ミチ

今回の本

先日、久しぶりに行った蔦屋書店のレジ前で平積みされていたので、気になり手に取ったところ本の前にはフリーペーパーが。

関連がありそうだし、せっかくなので読んでみると一穂ミチさんの短編『回転晩餐会』がまるまる読める!

その場で読んだところ、とても素敵なお話でありながらも考えさせられるものでした。

この作家さんの書いた小説がもっと読みたいと思い購入しました。

回転晩餐会の載っているフリーペーパーもありました!

あらすじ

6つの物語から構成されますが、今回は私一押しの『ピクニック』のあらすじを紹介します。

女手一人で育てた娘が無事に大学を出、結婚し初孫を産んだ。

初孫がとてもかわいく感激し、祖母にあたる希和子は「孫のためならいつでも死ねる」と思った。

しかし育児はそう簡単にはいかない。

一方、初めての子育てとなる瑛里子は早速母乳育児において、赤ちゃんがうまく吸ってくれないという問題が起きて保護具をつけることになりショックを受ける。

ほかにも母に手伝ってもらいながらも育児に奮闘するが小さなことを悪い方向に考えがちになる。

夫も当事者意識が低く、『手伝えることがあったら言ってね、僕に気兼ねせずどんどんお義母さんに頼ったらいい・・・』という調子だ。

夫婦の雲行きが怪しくなってきた矢先に夫に急な転勤の話が出る。

赤ちゃんの未希も新生児のころよりは落ち着き、瑛里子にも余裕が出た頃に希和子が単身赴任先に行ってきたら?と提案し、希和子と赤ちゃんとで数日過ごすことになった。

久しぶりに夫婦水入らずで過ごした翌日の午後、母の希和子から瑛里子に電話がきた。

「未希が動かないの。」

地元の病院では死因が怪しいと疑われ、警察に希和子が連れて行かれた。

乳幼児揺さぶられ症候群に該当するという。

あの日、何があったのかー。

感想

帯にある通り、喜怒哀楽全ての感情をこの一冊で味わうことができました!

すごい作家さんだ。

最初の『ネオンテトラ』でスッキリ爽快としたハッピーエンドではないモヤモヤとしたハッピーエンドを味わい、次の『魔王の帰還』で爽やかな読了感を得た後の『ピクニック』で味わう恐怖。

『ピクニック』は、幽霊やお化けではない本当の生きている人間による恐怖が怖すぎました。

『ピクニック』は自分も乳児がいるだけにページを進めるごとに怖さが増すけれど、読むことをやめられずにラストで凍りつきました…

その後の章も前の章でヒョイと出てきた人が主役となっていろんな物語が紡がれていきます。

こういう連作って好きだなぁ。

全て読み終えて、一つ一つの章でも登場人物も少なく狭い世界で描かれていますが、連作となり輪のように繋がる話は、まさにタイトルのスモールワールズだなと納得でした!

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