今回の本
Twitterを久しぶりに始めてから見かけた本です。
なんだかあらすじ見ると嫌ミスな感じがプンプンします。
歯ブラシって共有したくないし、よほど親しい人でないと近くに置くのも嫌ではないですか?
近藤史恵さんの本は、タルトタタン以来なのですが全く違った雰囲気で楽しめました!ほっこり系のタルト・タタンの夢の読書日記は以下から!
あらすじ
鈴音は今年に入ってから仕事面でもプライベートでも散々な目に遭っていた。
36歳になって2年付き合っていた彼氏と別れてしまった。
見栄っ張りな性格で望んでいないのに手に入ってしまったという状況を望んでいた。
彼氏との結婚も。
脚本家としての仕事は企画が中止になったものの概ね順調で仕事用の部屋と居住空間とを分けて部屋を借りている。
春先、見慣れぬ電話番号からの着信があった。
深夜12時を過ぎていた。
高校時代に合唱部で一緒だった友人 水絵からの10年ぶりの電話だった。
今近くに来ているのですぐに話を聞いて欲しいと言う。
なにか切羽詰まっているようだった。
水絵に会いに行くまでの間、これまでの人生経験で遭遇したマルチ商法や仕事の紹介、金銭面での援助の可能性について考えた。警戒もしていた。
いざ待ち合わせ場所のデニーズに着くと水絵は小さな男の子と一緒に居た。
どうやら離婚してシングルマザーとして働いていたけれど、リストラにあってしまい相当困っている様子だ。
鈴音は頭の中で計算して10万円なら援助できると話する予定だったが、水絵からのお願いは『一週間泊めてほしい』というものだった。
最初は渋った鈴音だが、決まった住所がないと仕事を探せないという水絵の言葉で渋々ながらも了承した。
了承したのは、一週間後に仕事が見つからなかった場合は他の友達のところに行くから心配しないでという水絵の言葉もあったからだ。
鈴音の家に着いてから、水絵たちは歯ブラシを買い忘れたというので買い置きのものを2つ渡した。
翌日、歯ブラシを買ったからと返されたのは最初にあげた使用後の歯ブラシだった。
本人たちは買った新しい歯ブラシを使っていた。
鈴音が使用後のものを返されてもと言っても、水絵は何が問題なのか気付かない。
共同生活を進めるうちに鈴音は色々なところで違和感を覚え始める…
感想
読んでる最中、険しい顔をしていたようです。(主人に指摘されました)
そりゃあ険しい顔にもなりますわ!という話でした。
ちゃんとあらすじを見ていなかったので、同棲中の恋人が異性の友人を連れてきて居候させる…っていう話かと思ってました。(全然違う)
嫌ミスを読みまくっている私にとって、水絵には最初から違和感ありまくりでした。
歯ブラシのくだりは、もう!!ありえない!!
水絵のように『こう言えばきっと、こういう返事が来て助けてくれるはず』という狙ったような曖昧な態度や言葉を選ぶ人、いますよね。
どちらかというと私も鈴音のように『絶対にその望んでる言葉は言わない』と思っても事態が進まなくて時間の無駄に思い、つい『望んでるであろう言葉を言ってしまう』タイプです。
あとからまんまと嵌められた感じがして後悔するところも似ていました…
どうしても鈴音サイドで読んでしまいますが、最後の方で鈴音の友人が言った「助けられるのも難しいわよね」でハッと考えさせられました。
どうやったら助けてもらえるか?
うまく自分の事や希望を口にできない人もいる。
水絵は高校時代に万引きをしていたと噂され孤立して鈴音を頼ってきたものの、鈴音が買っていた『あるもの』を見てどんな気持ちだったのでしょう。
作中で鈴音がずっと悩んでいた通り人を助けるにも線引きが難しいですよね。
鈴音のついてない状況も水絵には好転したのかもしれません。
最後は少し救いがあったものの、すっきりとした後味ではないです。
人のどろどろとした感情に触れたい気分の時におすすめの一冊です。
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