今回の本
帯を見て面白そう!と思い購入しました。男女逆転の世界ってどんな感じなんでしょう?
あらすじ
結婚したら男性は子育てと家事に勤しみ、女性は大黒柱として働く世界の話。
池ヶ谷良夫は、元教師だったが結婚を機に辞めて、学童指導員をしている。
妻は教師として家族のために働き、子どもは中学生と高校生の男の子が2人いる。
結婚して子供ができてから、男の権利について考え始めた。
妻は何度起こしても起きず、遅刻すると叫びながら慌ただしく仕事に出ていき、ゴミ捨てもしてくれない。
良夫に熱が出て休んでいても夕飯の心配をし、買ってきてくれるよう頼み込むけれど妻と息子の分しか買ってこない。
育休中の妻は半年過ぎから母乳ではなくミルクに切り替えたが育児も家事も何もせず、ただただ邪魔だった。
子どもが出来たのをキッカケに妻の希望で良夫が家庭に入ることになったが、「誰の稼ぎで食べられると思ってるんだろうねえ」と言われる始末。
何度か話し合いの場を設けてもその場凌ぎの言葉で妻の態度が変わることはなかった。
それから10年経って学習したのは、『妻は変わらない』ことだった。
そんななか、妻が男性教諭を虐めていたことが露呈した。しかも妻は全く反省していない。
そして息子の同級生が公園で男に襲われたという噂が流れる…
感想
読み終えて思ったことは、「なんて難しい小説なんだろう」でした。
ミラーワールドとして、男性と女性のいわゆる旧体制的な役割が逆転している世界の話です。
とある事件が最初に起きるのですが、最後にまた同じ事件について異なった展開で語られます。
その出来事は、ミラーワールドでの出来事なのか?それとも最初の事件が起きたいわゆる現在のワールドで起きたことなのか?
ミラーワールドでは、私たちの日常で使われている言葉が全部男女逆転して語られます。
【男女逆転】もミラーワールド的には【女男逆転】です。
それによって気付かされる今までなんとなく受容していた言葉に隠れる男女格差。
作中では、【奥さん】とは呼びません。【妻さん】と呼ばれます。
そうか。【奥】って奥に住んでいる人のことを指すからこれも格差なのかと。
それに【夫婦】という漢字もなぜ夫が先に来るのか?
本書で気付かされた『なんとなく受容していた格差』についてはこれぐらいにしておきます。
作中には、3つの家族が出てきます。
主にそれぞれの家庭の夫目線で話が語られます。
男女が逆になるとセクハラ精神的DV、モラハラはこういう風になるんだとハッとしました。
今まで逆転して考えたことあまり無かったかも。
舞台となっているのは、今より少し前の時代っぽいかな。
今はここまでモラハラセクハラが横行してたら、問題視されるでしょうし。(そうだよね?)
男性がこの本を読んだらどう思うんだろう。
主人も読んでみて感想くれないかなぁ。
最初は良夫だけが格差について奮闘していたけれど、色んな出来事が重なるにつれて周りにも影響していくところが見どころでした!
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