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今回の本
インスタの読了投稿でよく見るこちらの本。『火のないところに煙は』も話題ですよね!
買ってから少し積んでいたのですが、夏だし読んでみようと思い引っ張り出しました。
あらすじ
『目撃者はいなかった』
葛城修哉は先月の営業成績で大きく成果を挙げて先輩から褒められた。
これまでは常に最下位だった。
戸惑いつつも誇りを持ち、先輩にお礼を言って余韻に浸る間もなく、衝撃の事実を目の当たりにする。
それは売り上げ額の欄を見た時だった。
自分が試算していたものとはかけ離れていたからだ。
全身が強ばりながらも急いで売り上げ伝票を確かめる。
すると…入力ミスにより1枚しか受注していないものを11枚受注にしていたのだった。
35万円分を余計に売り上げ計上してしまっていた。
先程の周囲からの注目や先輩からの褒め言葉を思い出すとミスとは言い出せなかった。
余分な10枚分は自分で買い取ってしまうことにしよう。
そのためには、配送される前に余分な10枚分を除いて納品しなければならない。誰にも知られないうちに。
多少のトラブルはあったもののなんとか納品を終えた修哉だったが、納品直後に車同士の事故を目撃してしまう。
しかも納品先の担当者といるときに。
納品先担当者は事故の瞬間を見ていなかったが、修哉ははっきり見ていた。
そしてそのことを納品先担当者に話してしまった。
その後の新聞でその事故で亡くなった人がいることを知るが、目撃した状況とは異なる主張を加害者側がしているようだ。
しかし修哉は、そのことを証言するわけにはいかない。売り上げ計上ミスもバレてしまうからだ。
しばらくして、納品先担当者から納品時の配達業者について問い合わせがあった。
事故の現場を目撃しているはずなので証言してもらうために…
感想
読み終えて真っ先に思ったこと。
気持ちよく騙されたなー!
でもどの話も読み終えた後に苦々しいものが残りました。
嫌ミスに入ると思いますが、救われない…表題作以外の話ですが。
表題作は最後に救われますね!
中でも1番印象的で読み終えた後に思わず、興奮気味にネタバレを主人にしてしまったのが『姉のように』です。
思い込みって怖いですね…
この『姉のように』は最後まで読んだ時に、読み手に鳥肌立たせます。
そして、主人公の主張に納得せざるを得ません。
ネタバレになってしまうので、どのように騙されるのかは自身で体験してみてくださいね。
『ありがとう、ばあば』も孫の気持ちに関して、母親が思っている通りなのかなと予想していたら、最後にまさかの展開でした。
『目撃者はいなかった』では、主人公のアリバイ工作に見てはいけないものを見せられているようなハラハラを感じ、嘘に嘘を重ねていく様にこちらまで胃が痛くなるような臨場感がありました。
最後の話である『許されようとは思いません』では、読んでいる時にはサラッと流してしまったのですが、後から思い返すとジワジワと閉鎖的な村に対しての恐怖を感じます。
こんな、どんでん返しが上手な作家さんは滅多にいないと思います。
短編集なのにいずれの話も最後には予想していなかった展開が待ち受けているので、行き先の分からない真っ暗なトンネルを歩かされているような気分でした。
いつトンネルから抜けられるかも分からないし、行き着く先には崖があるのか、明るい道があるのか…
背表紙のあらすじに書かれている【人の心に潜む闇】が本当によく表されているミステリーでした。
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