今回の本
以前に『スワン』を読んで、これまで読んだテロ小説の中で一番スリリングに感じた呉勝浩さんの本です!!
今回は東京炎上と帯に大きく描かれていて、タイトルも『爆弾』とズバリのテロっぽい!期待の一冊です。
あらすじ
野方警察署にて等々力功(とどろき いさお)は、とある男の事情聴取にあたっていた。
スズキ タゴサクと名乗る中年男性は、酔っ払って酒屋の自販機を蹴り付け、止めに来た店員を殴った。
容疑については全面的に認めているが自販機の修理代や治療費を支払う余裕がなく、刑事の役に立つからなんとか被害者を説得してもらえないかと言う。
スズキは霊感に自信があり、何か事件が起きるのを事前に予知できると言った。
『十時に秋葉原の方で何かある』とスズキは言う。
事情聴取を進めると不審な点がいくつか出てきたが、問い詰める前に血相を変えた後輩が部屋に飛び込んできた。
秋葉原で爆発が起きた。詳細は不明。
スズキは人畜無害な大黒様のような笑顔を浮かべて、こう言った。
「あなたのことが気に入りました。あなた以外とは何も話したくありません。そしてわたしの霊感じゃあここから三度、次は一時間後に爆発します」
スズキ タゴサクという謎の男性と警察とのクイズ勝負が始まった。
感想
スズキ タゴサクが終始にこやかで、それが全体的に不気味な印象を与えています。
テロ犯人と警察とのクイズによる頭脳勝負・・・しかもヒントはいつ出されているのか分からないくらい雑談の中に紛れ込んでいます。
なんとなくこうして文章にしてみると、某アニメを思い出してしまいました。「真実はいつも一つ」の・・・
映像ではなく文章ですが、情景を思い描くことが容易かったです!
今回は主に舞台が取調室なので狭い空間ですが、ちょっと登場人物が多めでした。ちょっと日を置いて続きを読むと、「あれ?この人誰だっけ?」となってしまうので、時間をとって没頭するのがおすすめです!
『スワン』も『爆弾』も直木賞の候補に入っていましたが、いずれも受賞とはなりませんでしたね。
審査員による評価を見てみたのですが、呉勝浩さんの最近の候補に入った作品は審査員には不評のようです・・・
年代なのかなぁ。私は結構面白いと思うのですが。
ともあれ、次回作が楽しみな作家さんです!
今回の本の本体表紙と裏表紙
東京のセピア写真が青いシミのようなもので侵食されていくようなジャケットが印象的ですね!使用している色が絞られていて、かっこいい!
ジャケットを外すと侵食されていない東京の写真が。
背表紙ぴったりの位置に東京タワー!!おしゃれですねぇ!本棚に挿していても目立ちそうです!
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