今回の本
西條奈加さんの本は可能な限り単行本で集めたい!と思い、購入した一冊です。
タイトルに銀杏という言葉があるので、本当なら秋に読みたかった・・・・
文庫もありますね!
あらすじ
嫁いだものの3年経っても子供が出来ないことから離婚となり、実家に帰されてしまった萌。
実家は町の子どもたちを集めて『銀杏堂』という手習所を営んでいた。
この銀杏堂は門前に大きな銀杏の木があり、実を付けないが樹齢二百年・三百年とも言われており、いつも見守ってくれている。
銀杏堂では他の手習所とは異なり武家・僧侶・百姓・町人の子どもたちを男女とも教えている。
萌が出戻ったことで父が突然隠居すると宣言し、母が女の子の礼儀をこれまで通り担当し、男の子の手習を萌が行うことになった。
女が先生になるということで手習所から去った子どももいた。
そして『女先生』と出戻ったことを小馬鹿にする子どもも2人いる。
実家に返される直前までは嫁ぎ先の家の人たちはいつも微笑んでおり、微笑みの下は見えなかったが良くしてもらっていると思っていた。
だから子どもが出来ないことで離縁されるとは思ってもみず、青天の霹靂だった。
離縁を言い渡すときも夫は穏やかに微笑んでいた。
実家に戻ってから嫁ぐ前と同じように子どもたちに教えるつもりが、やはりどこか元気がなくなってしまう。
言うことをきかない子、何か不安を抱えているようだが打ち明けてくれない子。
なぜ父は手習所を女である自分に任せたのだろうか。
銀杏堂に通う子どもたちと向き合うことで、萌は自身を見つめなおしてゆく。
そんなある日。銀杏堂の前に生後半年とみられる赤ちゃんが捨てられていた。
この赤ちゃんを手に抱いたとき、萌は・・・・
感想
現代よりも階級が生まれながらに決まっていた時代のお話。
親が百姓ならば子が継いで当然。商人であればその家業を継ぐことが当然で、それ以外の勉強は必要ないとされていた頃、子どもがその枠を飛び越えたいと思うことは親不孝と言われてしまいます。
これまでにも時代小説は読んでいたので、こういった背景は知ってはいたものの手習所でも商人用・百姓用・・・といった線引きがされていたとは知りませんでした。
百姓の子が商人になりたいと思って、商人用の教本を求めても親が手習所に通わせてくれなくなる可能性もありますよね。
手習所での指導については、現代にも通ずるものがありました。
先ほどの枠にとらわれた指導方法は子どもが望んでいれば良いけれども、そうでない場合は子どもの希望に沿った方が得られる効果が大きい。
これは萌自身も作中に出てくる手習所の一つ『椎塾』でも学ぶことですが、私も多くのことを学ばせてもらった気がします。
子どもの個性は本当に人それぞれで、[読むのは得意だけれど書くのが苦手な子]や[読み書きや算術は一切しないが、絵が驚くほど上手な子]もいます。
そういった子どもたちに無理やりに一律の方法で教えるのではなく、やり方を変えて・・・もしくは得意なことを伸ばすように教え導くことも大切なのだと改めて感じました。
私の娘も1歳をむかえ、これから色んなことが出来るようになると思いますが人と比べすぎないように、得意なことを伸ばしてあげられるような教育をしていきたいなと思いました。
今回の本の本体表紙と裏表紙
今回のジャケットは表裏でひと続きの絵になっていました!銀杏の木が大きく手前に見えますね!銀杏堂の前で子どもたちを送り出す萌の姿でしょうか。
男の子たちが元気に遊んでいますね!
こちらは右よりも少し年上の男の子2人(作中のあの子たちかな?)と女の子2人ですね!
この何気ない日常を見守っている銀杏の木が真ん中に配置されていて、小説の内容をよく表しているデザインですね。
本体も銀杏です。写真には写っていませんが、栞も黄色で銀杏色です!
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