【読書日記】はなとゆめ/冲方丁

こんばんは!

あっという間に秋到来ですね。先日の地震の余韻なのか、私の周りでは揺れていないのに「あれ?今地震?」現象が続いています。

幸いにも家の被害は水槽の水が零れたぐらいで済みました。

早いところ、落ち着いてくれることを祈っています。

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今回の本

ブックオフオンラインで購入して積読になっていた本です。やっと読めました!

清少納言が『なぜ枕草子を描いたのか』。清少納言の生涯を描いた本です。

あらすじ

はなとゆめ。

『はな』とは人の美しさ・栄光・誇りといった華。

『ゆめ』とは、それが永遠に続かないということを知っている儚さ。

清少納言にとっては、『はな』とは中宮である定子そのものであり、定子を通して『はな』も『ゆめ』もその身をもって知った。

話は、清少納言が宮仕えをする前から始まる。

最初の夫と別れ、実家に戻り父親の残してくれた財産を管理していた日々。父親や元夫を通して知り合った人たちと男女を問わず歌や文のやりとりをしていたことがきっかけで、徐々に位の高い家へ出仕し、ついには宮仕えをするようになる。

清少納言の特技としては歌人である父親から教えてもらった漢詩や漢文、そして特技である記憶力。手蹟や絵も一度見聞きすれば忘れることがない。この能力は後々の中宮に使えるときに大いに発揮されることとなる。

清少納言は、中宮に仕えている女房の中では年上であり、若く美しい女房たちの中に入っていけず、自分を場違いな存在だと思い昼間に人目につかないようにし、夜に中宮の元へ参上しても壁際にいて縮こまって顔を伏せ、ひたすらじっとしていた。

そんなある日、中宮定子が「あそこの壁に隠れているのは、誰?」と声をかけてきた。緊張からしどろもろどになりつつもこの日を境に中宮と話をする機会が増えてゆく。最初は、緊張の連続で、早く自分の部屋に戻りたいと願っていた宮仕えも徐々に環境に慣れ、色々な人と歌のやり取りや軽い冗談なども言い合えるようになってくる。

心に余裕が出てくると、宮中の華やかさだけでなく政治的な闇も見えてくるようになってきた。

一条帝、藤原道隆の娘である中宮定子、道隆の弟である菅原道長とその娘である彰子。兄弟であるのにも関わらず、政治を巡って対立をする藤原家に巻き込まれる中宮定子。そして、定子の傍で定子の華を見届けようとする清少納言。

平安絵巻が目に浮かぶような華やで、ゆったりとした時間の流れ。そして道長の恐ろしい戦略により徐々に失われる清少納言の華である中宮定子との日々。

歴史小説だけれどもその働き方は現代のOLにも通じる話のようにも思いました。

感想

今まで、この時代の小説といえば清少納言より紫式部の源氏物語にばかり目がいっていました。清少納言は、自分の知性をひけらかし、鼻持ちならない女性のように思っていました。

まずこの小説の冒頭を見て、けして知性をひけらかすような傲慢な女性ではなく、新しい環境で緊張し、慣れずにギクシャクするところなど親近感がわきました。そして中宮定子の完璧なこと!しかし完璧であるようにと定子自身も努力をし、その努力を悟られないようにしていたのだと。あの有名な望月の歌を詠むに至るまでの定子の周りの目まぐるしく変わる環境。歴史小説は読む手が中々進まないのですが、この本はページをめくる手が止められませんでした。

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