今回の本
芥川賞受賞作を読んだ後に「もっとこの作家さんの本が読んでみたい!」と思ったので、早速購入したこちらの本!
ちなみに芥川賞受賞した作品の読書日記はコチラ
あらすじ
夫が風呂に入らなくなった。
きっかけと思われるのは、ひと月前。
会社の人と少し遅めの新年会から帰ってきた夫が濡れていた。
会社の若者から水をふざけてかけられたという。頭から服まで濡れている夫。会社で舐められているのだろうか?
そんな心配をしていたが、妻はあることに気が付く。
夫がお風呂に入っていない?シャワーすらも・・・
次第に夫から発せられる臭いが気になるように。夫に思い切って聞いてみるも入るのが嫌になったと言う。
夫の臭いが周りに迷惑をかけないように妻もできる努力をし、夫自身も少しでも体を洗おうと雨に打たれたり、ペットボトルの水を被る。
夫婦の向かう先は・・・?
感想
義母にままごとのような夫婦生活だと言われ、この言葉をずっと引き摺っている主人公である妻。
確かに作中でもっと深くまで聞けばいいのに・・・ともどかしく思うところがあり、どこか一線を引いているようにも見える所は、『ままごと』っぽく夫婦といえど所詮他人事と思えてきてしまいます。
夫婦の形は人それぞれ。上記は割り切って、イライラ・もやもやせずに読めるかどうかが読者に試されているかもしれません。
タイトルの「水たまりで息をする」がよく分かるような全体として息苦しい、もがいてもがいても辛い。
その中で夫の明るさに救われるような、逆にさらに切なくなるような・・・
本当にいろんな事を考えながら読み進めました。
文章中にはっきりとした答えがないので、「どうして夫はお風呂に入らなくなったのだろう?」「妻はどうしてカウンセリングを勧めたり専門家に聞かないのだろう?」「夫はどこへ行ったのだろう?」と想像しながら読みました。
作中にはっきりとした『答えがない』という小説を読むのは久しぶりで、現代文の問題を解いているような気分になりました。4つくらい選択肢が欲しい・・・解答・解説も欲しい・・・
想像しながら読むという点において、読書感想文に向いているのでは?と思いました。
それぞれの立場になった場合に自分ならどうするか?これだけでも原稿用紙数枚はいけそう。
芥川賞を受賞した『おいしいご飯が食べられますように』が面白く、こちらの本も手に取ったのですが、他の著作も気になりました。
今回の本の本体表紙と裏表紙
肌の上に水が乗っているような、水に浸かっているようなジャケットです。
裏は水しぶきが線画で描かれています。
ジャケットを取ると、一転して真っ黒に水しぶきの線画。
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その後を色々と考えさせられる本を紹介します。