今回の本
西條奈加さんの本をたくさん購入した際に積読していた一冊です。
あらすじ
刀を持った浪人に対しても恐れずに借金の取り立てをする老婆 お吟。
浪人を怒らせ、あわや切られるかといったところで助けに入った人がいた。
遠縁のものだと嘘をついてその場を収めて、お吟の家に転がり込んだ若者 浅吉。
腰を痛めたお吟に代わって取り立てをうまいことやってきたら家に置いてほしいとお吟に交渉してきた。
浅吉は、ただ金を取り立てるわけではなく借金のいきさつや内訳を明らかにし、その人にあった仕事を紹介するなどして借金を回収していった。
もちろん親身になって対応するので、借りた人たちからの信頼も得ていった。
いつしかお吟の代わりに細々とした回収を請け負うようになった。
浅吉はそもそも一体何のために遠縁と嘘をついてまで、お吟のところに来たのか?
浅吉とは一体何者なのだろうか?
人情話だけでなく、お仕事小説としても楽しめる一冊!
感想
お金に困窮している町人だけでなく武士までも救う浅吉の姿に感動していたら、実はちゃっかり利子で儲かるようにしていたことを知り、なんだか憎めない人だなぁと変に感心してしまいました。
『その日のお金が何とかなれば良い』ではなくて、きちんと返済できるようにあれこれと世話を焼く姿が、最初はお吟のお金目当ての詐欺師かと思っていたのですが、読んでいるうちにどうやらそうではなさそうだと気付かされます。
浅吉の本当の姿など途中でどうでもよくなってしまうくらい、頼りになるし茶目っ気もあれば頭も良いその人柄にどんどんと惹かれていきます。
烏の勘左との絆も見どころです。
一番の盛り上がりは後半のスリで生活をしている子供たちとの関りのところでしょう。
浅吉のこれまでの仕事で得た信頼によって、色んな人が助けてくれるところは思わず涙してしまいました。
本作は時代小説の人情ものだけでなく、お仕事小説としても楽しめます!浅吉の提案がすごいです!!
やはり西條奈加さんの本は涙なくして読めませんね!
感動の涙なので、良いデトックス効果も得られそうです。
今回の本の本体表紙と裏表紙
読み終えてからジャケットを眺めていると、「あの人だ!」と分かり想像していた人物像と同じだと嬉しくなります。
お金の話なので、裏まで銭が!
ジャケットを外すと、渋い色合いの本体。シンプルでこちらのデザインも好きです!
背表紙で烏の位置がジャケットと変わっていて、こちらの方が好みかも。
おすすめ関連書籍
読みやすい時代小説を紹介します!時代は変わっても仕事で家庭で悩み解決策を見つけようと模索する姿は現代と共通しますので、元気をもらえます!