【読書日記】曲亭の家/西條奈加

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今回の本

西條さんの本を最近読み終えたところに本屋に行ったら新刊が!!

これは買わねばなるまいと思い、早速購入しました!

あらすじ

医者の家に生まれ育ったお路は、同じく医者の家である滝沢家へ嫁ぐことになったが、その家は大変な性格の持ち主ばかりだった。

舅にあたる馬琴は、南総里見八犬伝などを書く流行りの読本作者であり、人付き合いを避けこだわりが強く厳しく容赦しない。

姑は口が悪く我儘で気分屋。そして癇癪持ち。

夫は藩医をしているが病弱で診療を休みがち。生真面目だが、時々感情を爆発させて癇癪を起こす。

こんな家だから女中も長く居つかず、変わることが多いがその女中への指導もお路の仕事だ。

夫とは子どもに恵まれるが、うち1人は妊娠中に夫の癇癪のせいで流れてしまった。

病人の面倒を見るために嫁いだようだと母に言われる通り、病気の影が常に付き纏う滝沢家。

馬琴の著作で生計を立てている状態の滝沢家で、お路が見つける幸せとは….

感想

読み終えて、まず思ったのが「なんて壮絶な人生なんだろう」でした。

前半、神経質で癇癪持ちの旦那に同じく癇癪持ちの姑、そして絶大な人気を誇る曲亭馬琴である舅。

曲亭の家こと滝沢家が、本当に住みづらい人たちばかりで、良くお路は我慢しているなぁと思いました。

現代の感覚でいけば子供が出来る前に逃げればいいのにと何度思ったことか…

そして滝沢家にじわりじわりとにじり寄る死の影。

お路にとって辛すぎる出来事がたくさん…

その中でも必死に残された者たちで生きようとする強さと周りの人達の温かさ。

特に後半の鉄砲同心の人達の優しさには、ジーンときました。じわりと涙も…

前回は雨月物語のメイキング、今回は南総里見八犬伝のメイキングになるのかな。

実は南総里見八犬伝をまだ読んだことがありません。

中学生の時に友達がかなりハマってオススメしてくれたのですが、その当時は気乗りしなくて。

今回の本を読んで、読んでみたいという気持ちは強くなりました!!

こうして古典に触れ合えるキッカケともなり、何重にも楽しめる本は大好きです。

終盤の馬琴と共に南総里見八犬伝を書き上げるところは鬼気迫るものがありましたが、途中でお路が旦那に語る「小さな幸せ」のくだりがラストのページで再度柔らかな光とともに描写されているところが、これまでの苦労が報われて穏やかな日常を迎えられており心に残りました。

そして、雨月物語が登場したのは嬉しかったです!最近、西條さんの『雨上がり月霞む夜』を読んだばかりだったので!

まだの人はオススメ書籍からあらすじチェックしてみてくださいね!

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